激安フルートについて

激安フルートとは、金属製銀メッキにもかかわらず2万円未満の楽器を指します。コスト的に日本国内で製造することは不可能で、物価の安い国で作られています。
粗悪品と言っても過言でないものが非常に多いので、強くお勧めしません。購入を考えている方は一度お読みください。

「精密機器」を安く作ったら

フルートは、一つキイを押すと必ず二つ以上ふさがるような設計になっています。ですから、いわば「精密機器」です。決して安く作ることはできません。

これらのキイをつなぐパイプ、本体に据え付けるポスト、その接着、キイを連動させるバネ、これらがしっかりした素材で確実に精巧に据え付けられている楽器でなければ、正しく音が出せません。動きも鈍くなります。

また、指の代わりに穴を塞ぐ「タンポ」と呼ばれるフェルト製のパッドは、穴を密閉するためにいまでも日々技術革新が行われている大変むずかしいものです。季節の変わり目や天候の悪い日は間違いなく塞ぎが悪くなります。上級者ほど、頻繁に調整に出しています。

頭部管は、単に穴を開ければよいものではなく、鳴らしやすさを優先するのか、音色を優先するのかで全く変わってしまいます。一般的に、鳴らしやすい楽器は穴が大きく、音色を求める楽器は切り口が滑らかになっています。これも、穴を削る専門の職人がいるほどなのです。でかいからいいというわけではなく、かえって鳴らしにくくなってしまうものもあります。

しっかりと音が出るように、愛情を込めて作られているはずの楽器を、どうしてそんなに安く作れるのか。それはひとえに、精度とコストに集約されていると私は感じます。

 

激安楽器は・・・

  • キイの精度がよくないです。製法は一緒でも、鋳造が甘いか選別していないので、狂いがあってもそのまま組み上げています。
  • バネの素材が粗悪です。強すぎて曲がらないか、弱すぎて戻らない。カットの面を処理していないから、先端でケガをしてしまうことも。
  • バネが弱い=キイが戻らない。バネが強すぎる=押さえにくく戻りが強い。そして差してるオイルも精度が悪く固まってしまう場合も。
  • 接着、組み上げ、角度がバラバラです。見た目は同じフルートでも、微妙に角度がずれているため、タンポの塞ぎが甘く、部品のずれでガチャガチャと異音がします。
  • タンポの素材や精度が粗悪です。厚さがバラバラで、きちんと閉じられるバランスになっていません。
  • 頭部管は、穴が曲がっていることが多々あります。これは、本体・プレート・台座で穴の位置を揃え損ねたものです。発音も音色も考慮されていません。

精度がよくない楽器は、愛情がこもっているとは到底思えません。こんな楽器は持ってはいけないと思います。だから、私は「国産」「国内設計」=日本製にこだわるのです。

 

見た目は銀色でピカピカな楽器でも、はじめて蓋を開けたときに、糸がほつれてるシャツのような布でくるまれていたら、実はその時点でアウトです。楽器の中が糸くずやほこりにまみれています。本来は抗菌処理したポリ袋に包むことで、ほこりから守っているはずなんです。

また、楽器本体の素材が洋銀ではなく、さらに安い素材の真鍮である場合があります。この素材だと金属アレルギーを引き起こすことがあり、過敏な方には大変不運な話です。

ずいぶん鳴る印象がある楽器は、ほぼ間違いなく管厚の薄いものです。薄いということはやはりもろさがありますから(強く握っただけでつぶれることも)できれば回避したいものです。

すべてはコスト最優先の製造。精度が悪くて音が出ないのに、自分のスキルだと勘違いしてしまう。挫折の原因にもなり得ます。
これはメンテナンスをしていない楽器でも同じことが言えます。ここが「楽器の知識」であり「精密機器」たるゆえんです。

そして、これがいちばん大事なこと。壊れても、日本国内のショップではほとんど修理を受け付けてくれません!理由は、合う部品が少ないか、存在しないためです。仮に受け付けてくれても、修理代金は数千円します。部品がなければメーカーから取り寄せで高額になります。これだけでも楽器の値段に追いついてしまうのです。だったら買い換えてしまったほうが早いのです。そんな楽器には愛着を持ちにくいし、仮に持ったとしても、詐欺に遭ったようなものなので、早々に離れるべきだと私は思います。

愛せない楽器で上達できますか?

おわかりいただけましたか?激安楽器は絶対に入手しないでほしいと思います。
同じ買うなら、プラスチック製の楽器にしてください。メンテナンスフリーで、手軽に始められます。