楽器のはなし

いくらぐらいするの?

★初心者へのおすすめ度をマークで示しました。
×=絶対に買わないこと △=まずますですが、将来的にお勧めしません ▲=将来的にはお勧めですがいまは早いかも ▼=いまはやめておこうね
〇=おすすめです ◎=とくにおすすめです

×超~激安フルート:9千円台から

→主に中国・台湾・東南アジアが主産地で、寿命は2年以下。見た目は銀色の楽器ですが、管体の素材が実は真鍮だったりすることもあり、金属アレルギーが出てしまう場合も。また、国内ではまず修理してくれません(部品の規格が国内設計と合わないためです。取り寄せも高額)穴は粗削りで、メカニズムがもろく、パッドの塞ぎもよくないので、実はこの精度の問題で上達できないというのが最大の欠点です。この楽器なら手が届く値段だとお考えの方は、下記プラスチック製の楽器をご検討ください。
壊れたら買い換えたほうが安いですが、結局粗雑なものに当たってしまう確率も高く、おすすめできません。

詳しくは「激安フルートについて」のコラムをお読みください。

〇注目のプラスチック製フルート:2万円前後

→安価な割に、画期的な要素満載の楽器です。本体はプラスチック製なので非常に軽く、腐食がありません。パッドはシリコンで狂いがなく、バネはゴム製で折れる心配がありません。難点は少し鳴りにくく音色に深みがないこと、高音域の指使いに工夫がいること、ゴムバネの動きがやや重いことですが、上記の激安楽器よりははるかにましです。しかも、元々の構造をよく考えた造りで、足部管をはずしても演奏可能な設計、U字管にリコーダーアダプターもついているというオプションもあります。自分にできるか不安で楽器の値段に足踏みしている方は、この楽器なら心配いりません。また、身長が低い小学生のてほどきにも最適です。

◎国産の初心者用:5万円台から

→寿命は3~5年。大事に使って7年、奇跡的に10年。初心者向けの楽器としてはもっともスタンダードなタイプで、吹きやすく鳴りやすい楽器です。残念ながら音色作りには向かないそうです。材質は洋銀で、軽くて丈夫ですが、腐食しやすい欠点があります。

◎頭部管銀製:15~20万円ほど

→設計がしっかりしているので、手入れをきちんとやれば一生使えます。頭部菅が銀製になるだけでも音色が違います。本体は洋銀なので、皮脂の汚れはきっちりふき取るのがポイント。
※リッププレートのみ銀製という楽器もあり、これだけでも音色に違いが出ます。価格は10万程度ですが、楽器店での取り扱いが少ないようです。

△管体銀製:30万円ほど

→総銀は高い、だけど銀の楽器は持ちたい・・・という要望に応えて作られたモデル。メカニズムが洋銀製で価格を抑えていますが、響きに一体感がないため、音づくりに限界があります。この楽器を持ってしまうと、スキルアップの壁に当たった時に気づきにくい上、結局買い替えという末路をたどるので、かえって高くつきます。

▲憧れの総銀製:40万円~

→プロも使っているモデルですが、最初は重くてつらいと思います。吹き込むほどに自分の音になってゆく魅力を最も感じ取れます。完全ハンドメイドになると100万を超えてしまう場合もありますが、音色、音質、品質は格段に向上します。一生モノの楽器です。

▼煌びやかな金の楽器:時価(笑)

→金のフルートといっても部分的に銀を使っていたり、24金製(900万!)だったり、いろいろあります。9金でも100万は覚悟です。最初から良いものを持ちたいという生徒さんが9金製を体験に持参された例もありますが、実は9金はやや軽めなので、比較的持ちやすいかもしれません。

▼ベンツが買えちゃう!プラチナ製:500万円

→とにかく重いです!プロでも苦労する楽器です。音はでかいです。1000人のホール、オーケストラバックのソロでも客席の後ろまで聞こえます。(音量の効果は18金や24金でも得られるようです)

▼素朴な音が魅力の木管フルート

→ハンドメイドのみ。80万以上はしますが、外径が太く持ちやすいという利点もあります。重量があるので疲れるかも。それと、ひび割れ注意(油を塗るという作業と演奏中こまめに水滴をふき取る作業が欠かせません)

その他、カーボン製やチタン製、陶器製、樹脂製など珍しいものもありますが、ここでは割愛します。
最初から高価な楽器を持つと、何よりもその重さで疲れてしまうと思います。国産の初心者用かプラスチック製の楽器で吹き方に慣れていただくことをおすすめします。絶対に買い替えない、というつもりなら、頭部菅銀製の楽器を狙ってみてください。

どうしてこんなに高いの?

フルートの重さは300グラム程度。金で500グラムを超えてきます。プラチナになると、少年野球のバットを持って吹いているようなものです。貴金属の相場よりもちょっと割高なのは、よい音を出すための職人さんの技術料と考えてください。細かい部品の素材にこだわったり、それを一つずつ削りだしたり、組み立てたりする手間。音を出す頭部管というフルートの命の部分への技術。実に大変な作業なんです。物価の安い地域でもし、これだけの仕事を緻密にやってくるようになったら、おそらく価格破壊が起こるでしょうが、残念ながら技術が浸透していません。

通信販売やオークションで購入することをお考えの方へ

これは楽器のことをよく知らないと大変なことになります。初心者は絶対に一人で購入、入札しないでください!大手楽器店のオンラインショップでは選別済みですが、保証のことなどをきっちり話をしないと苦労します。返品は基本的にできないものと思ってください。
(※扱い方についてはDVDでの説明がほとんどで、ジョイントがきつい場合「お客様の取り扱いがよくないから」と修理交換返品を渋るケースもあります)

それからやたらに安いフルート(4万円未満)の場合、独自の構造仕様になっていて、いざトラブルが発生した時はこの発売元に問い合わせないと修理不能ということもあるそうです。もちろん、発売元がある日突然消滅することもありえますから、できれば手を出さないことです。

また、オークションでも大変多くの楽器が出回るようになりましたが、結果的に楽器店で買うよりも高くつくことがありますから、十分注意の上交渉してください。楽器の試奏ができれば問題ありません(つまり購入前に一度会うわけですね)

楽器の配送の話

フルートは、普通に宅配便で送ってはいけないのです。送るなら、VIP扱いで手渡し、手運びを依頼する必要があります。

宅配便の仕分け作業をアルバイトでやったことがある方はよくご存知だと思いますが、集められた荷物は金属製のベルトコンベアを流して仕分けするのが通例です。もし、ここにフルートを流したらどうなるか・・・フルートのメカニズムは振動、特に縦向きに大変弱いのです。「自転車のかごに入れてはいけない」というポリシーをもっとも強く主張する某老舗メーカーでは、わざわざ自転車に乗る方向けの専用バッグ(たすきがけに背負えるタイプ)を開発するほどなのです。

宅配便の現場をちょっとレポートしてみましょう。

大まかな仕分けは上段の高速コンベア(ゴム製)に乗せられ、大きな羽根で弾き飛ばされます。
その後、下段へ下ってくるのですが、この時軽いものは縦に転がってしまいます。稀に途中でひっかかってしまったり、落ちてしまうものも。(縦揺れの振動が最も加わる)
下段では金属ローラー製のコンベアを流れます。
小さなものはコンテナボックスにまとめて入れられますが、そのボックスも一緒に羽根ではじかれます。
というわけで、なんと、振動だらけなのです!!!

「われもの注意」の赤札を貼ればよいとお思いですか?ダメです!実は、「エアキャップ(いわゆる「プチプチ」です)で包まれた軽いものはベルコンに流してよい」というガイドラインがあるのです。なんという恐ろしい事実!
激安楽器は、これらの悪条件がすべて揃っているのです。オークションで落札すると、間違いなく宅配便で送ってきますから、その時点でアウトです。

材質や値段による音の違い

金だから、あるいは銀だから「良い」というわけではありません。結果的には、音質は個人の好みで決まるということです。現在でも洋銀ハンドメイドという楽器は存在しますから、洋銀=初心者用という図式は絶対ではありません。かの名フルーティスト、マルセル・モイーズも洋銀を好んで吹いていたといいます。音質は材質だけでなく、設計や構造によっても変わってきます。また、「リングキイは上級者用」というのも迷信です。これについては書き出すときりがありませんので、ここでは割愛します。

一般的に、材質によってはこんな特徴があります。音量の順に並んでいると考えて構いません。

*洋銀製=明るくて軽快な音
*木製=素朴で暖かみのある音
*銀製=軟らかくて深みのある音
*金製・プラチナ製=きらびやかで大きな音

なお、モデルタイプ(ライン生産)とハンドメイド(受注生産)では当然違いが出てきます。モデルタイプは大量生産ゆえ、あたりはずれが生じてしまいますから、必ず選別が必要です。購入するときは必ず先生や熟練者を伴って行ってください。