防音と練習環境のはなし

防音のアイデア

おそらくふつうのフルート教室ではこんなことは教えてくれないと思いますが(笑)ぜひ参考にしていただければと思います。

※ここでのアイデアは、お住まいに条件があります。対象は「楽器OKの賃貸物件」「分譲マンション」「戸建て住宅」にお住まいの方で、さらなる防音をお考えの方に向けて書いています。
楽器不可の住宅にお住まいの方は、一度こちらのコラムをご覧ください。

残念ですが、完璧な防音は不可能です。なぜかというと、音は空気を伝わってゆくからです。完全に遮断するには空気の行き来を無くさなければならず、密閉空間になってしまいます。しかしそれでは人は窒息してしまいます。ですので、ここに列挙するアイデアはすべて「音を小さくする」という考え方であることをご理解下さい。
(参考:ヤマハアビテックス資料)

・ガラスがいちばん音を透過します。ですから、窓際では練習しないように。目安は、車の音が聞こえる=楽器の音は漏れている、です。
・二重窓は費用を抑えて防音できる施策の一つです。
・防音加工は「吸音」と「遮音」を重ねたものです。市販の「遮音カーテン」だけでは効果は薄いので、吸音材として厚手のカーテンを併用しましょう。つまり、二重にカーテンをかけるということです。洗濯物や衣類を吊るすだけでも「吸音効果」があります。
・フルートの音は上に飛びます。できれば天井への防音配慮を。防音マットを貼るだけでも効果あり。
・空気が音を伝えます。隙間をできるだけなくすのがポイントです。

吸音効果のあるもの・・・厚手のカーテン、じゅうたん、衣類、毛布・布団などやわらかい繊維質のもの(ただし布団は吊るすのには向いていませんので、床防音です)

遮音効果のあるもの・・・防音カーテン(鉛が入っています。防弾チョッキ並みです)重量のある扉、木製の雨戸(吸音材併用で高い効果。金属製はまったく意味なし)二重窓(シーリングがしっかりしていること)

・引越される場合は上層階のほうが有利です。(防音ボックスの値段で管楽器用とピアノ用では30万近くの価格差がありますが、これはピアノが床防音を強固にしていることに対し、管楽器はすべて音が拡散するため床防音が薄くてよく、それで安くなるのです)
・コンクリート打ちっぱなしの建物はかなり高い密閉度で防音効果大です(実例として、付近に高速道路があるため、窓際もかなり強固なシーリングが施されているマンションがあります)
・風呂場は密閉度では群を抜きますが、高い湿度で楽器が傷みます。また、響きすぎる傾向にあります。
・ユニットバスは湿度のほか、排水管や換気扇から音漏れがしますので、やめましょう。

昼と夜では音の飛び方が違います。昼間はただひたすら上昇するだけですが、夜間は地を這って拡散します。夜間に練習される場合は「吸音」を念入りに。床防音に気を使うのもよいと思います。

<耳寄りな情報>

線路沿い、高速道路の近くなど、騒音のひどい地域の住宅は、多くはその対策で防音が非常にしっかりしています。このため、音楽に携わるには、防音上は最適な条件ということになります。これらの住宅では、音楽に関する苦情は少ないようです。また、居住条件的には不利なため、家賃や価格の相場も低めの傾向にあります。

これらの地域は振動もありますので、録音を目的とする場合はあまり向いていません。一般的に録音スタジオは地下階に作られる事が多いようです。バンドスタジオやライブハウスもその一例です。

また、この振動を抑えるために大変苦心したホールが、池袋の東京芸術劇場です。真下を地下鉄有楽町線が通っており、騒音と振動を避けるために、地上5階まで吹き抜けの構造になっているのです。さらに、大ホールはその上に設置されている念の入れよう。地下階の小ホールは完全防音のため音響的にデッドな構造で、主に演劇用に貸し出しているのだそうです。

<簡易防音のアイデア>

四隅と天井を囲うことがいちばんですが、防音素材は重くなるため、たとえばオープンタイプのテントを張って周囲を生地で囲むなんてのは、ポールが耐えられないと思います。運動会でよく見かける白いテントは、周囲を囲っていても音は抜けてしまいますので、この程度でしかないと考えていいと思います。

練習する部屋について、こんな対策はどうでしょう。目安は手を叩いてこもった音がする状態がベストです。

・あらゆる隙間をすきまテープで目張りする
・ガラス窓があれば防音カーテンと厚手のカーテンを両方かける。カーテンの引きしろはマジックテープで壁に止める
・可能であれば、ハンガーラックを窓際に移動&洗濯ものを窓際に干す
・床は厚手のじゅうたんやタイルマットを敷き詰める。布団の上で吹くのもよい
・天井には防音マットを貼ったほうが良い

ちなみに「布団をかぶれば」という発想は、実際にやってみると大したことがないことがわかりますから、やめましょう。息苦しいだけです。

もし、四方と天井を囲んで防音するなら、相当な工作が必要になります。
実際に作ったレポートはこちらです。ベニヤ板10枚、遮音シート2ロール、グラスウール2巻、プラダン10枚、発泡スチロール200x150mmを使ってようやくできました。

先述のオープンテント、高さや広さは使えそうですが、防音カーテンで囲った時の強度が不安です。また、天井は内部で施すほかないと思います。発泡スチロールの上にグラスウールを多めに乗せて、上の枠にセットすれば、とりあえずの形になるかもしれません。

繰り返しますが、試していないので、強度は保証できません。もしやってみるという勇気のある方は、ぜひレポートをお願いします。